目標は八幡製鉄所の従業員と家族が多く暮らす住宅街だったとされ、現在の同区枝光や中央、尾倉、前田を中心に焼け野原となった。旧八幡市発行の「八幡市史 続編」や「北九州市史」によると、死傷者は約2500人、被災人口は5万2562人、被災戸数は約1万4千戸。「日本都市戦災地図」(第一復員省編集)によると、死者数は1785人。(西日本新聞ワードBOXより)

〈秘〉目標情報票
米軍資料北九州の空襲 / 奥住善重・工藤洋三(北九州の戦争を記録する会)

出撃に際し機内に持ち込んではならない
目標:八幡市街工業地域
目標地域:90.34-下関

要約:
日本における四つの都市工業集中地帯の一つに挙げられるが、八幡地域は、下関海峡の南と西に広がって、北九州の沿岸沿いに狭く縁取りをしたような形をしている。この地帯は、5つの工業都市の複合体であって、日本で最大の一つの製鉄所;精銅所の石炭乾留施設に関連する重要な化学工場;この地域と北九州の送電網に供給する大規模に開発された火力発電所;日本の最も重要な造兵廠の一つ;そして活力ある鉄道と船舶輸送施設を含んでいる。

重要性:
八幡地域は、日本本土内の元も重要な工業集中地の一つと位置づけられ、「日本のピツバーグ」「日本の小ルール」と呼ばれてきた。それは日本の鉄鋼生産の中心地で、周辺地域に大量の銑鉄、鋼塊、圧延鋼の製品を供給する。重化学工業の大規模な発展は、日本の軍需産業にとって、またコークスと石炭処理工場の副産物が農業生産を維持してくれる事で重要であった。

戦略的な位置にある下関海峡付近、極東における最大の船舶輸送の中心地、八幡地域には、よく整備された港と鉄道施設がある。海峡の下を潜る関門トンネルは、本州と九州北部との間を連結する。八幡地域は筑豊炭田に近く、北九州の鉄道網を激しく使って年間2,000万トンとも積もられる石炭が運搬される。八幡地域は火力発電所を通じて自身の電力を生産し、北九州電力網に貢献している。

この地域の合計人口はおよそ650,000である。この巨大な工業複合体に付属する居住を焼夷弾で破壊すれば、相当な長期欠勤と社会的な混乱を引き起こすにちがいない。日本製鉄で実質的に生産損失があれば、ほかの都市にある多数の関連工場と、帝国の残りの部分に損害を与えるであろう。重要な火力発電所を無くすれば、この地域の全ての生産は事実上停止するであろう。北九州の輸送線を妨害すれば、完成品、半成品および副産物の流れは停止するであろう。重要な鉄道修理工場に損害を与えれば、すでに過重な負担をしている陸上輸送網はひどい無理に苦しみ、九州に作戦する事になった場合には、障害の軍隊輸送や補給に影響するであろう。小倉の重要な造兵廠に損害を与えれば、九州のために最も手近に利用できる武器弾薬の供給源を絶つことになるであろう。港湾施設とこれに付属する小舟の造船所を破壊したり、これに損害を与えたりすれば、船便の使用を増大して陸上輸送を緩和しようとする日本人の努力は阻害されるであろう。石炭と功績を積み込んだり箱詰めにしたりする装置のある種のものは、損害を受けやすく、取り換えがきかないであろう。

市街地域目標3630の内側にある番号付き目標は以下の通り:
168-小倉造兵廠
184-小倉鉄道工場
2173-東小倉鉄道操車場
1127-小倉火力発電所No.1
188-小倉火力発電所No.2
165-小倉製鋼所
1856-九州特殊鋼会社(小倉)
28-日本製鉄(八幡)
28A-日本製鉄・火力発電所
28B-日本製鉄・火力発電所
569-九州化学工業(八幡)
567-旭硝子会社(八幡)
1851-日本合成工業(八幡)
2169-八幡鉄道操作車場
1108-日本アルミニウム会社(黒崎)
1113-日本合成工業(黒崎)
1126-安川電機会社(黒崎)
1866-小倉港湾施設
1860-東洋特殊鋳物会社(小倉)
177-大阪曹達会社
1857-OKUMA鉄工場
1859-東京鋼索製造会社(小倉)
2170-戸畑鉄道操車場
33-戸畑港湾施設
29-日本製鉄・戸畑分工場
1594-戸畑火力発電所
1853-東京製缶会社(戸畑)
1852-日立機械製作所(戸畑)
2171-若松鉄道操車場
561-若松鉄道工場
1672-若松造船所
558-栃木造船所
32-若松港
1123-日本液体燃料会社(若松)
1864-東海製鋼製作会社(若松)
555-東海製鋼製作会社(若松)
1861-日立機械製作所(若松)

XXI爆撃機集団、 A-2 目標班
1845年6月20日